量子力学〈1〉 (基礎物理学選書5A)
小出昭一郎, 量子力学(I)p119 §5.3 「トンネル効果」について。p123に書かれているように、途中の計算が省かれていて、読者の演習に任されている。これについての場合のポテンシャルの壁を乗り越えていく波の振幅(具体的には振幅)について計算してみる。これは壁の左側の波動のエネルギーよりポテンシャルの壁が大きいので、自身のエネルギーより高いポテンシャルの壁を乗り越えていく、トンネル効果の透過後の振幅を計算することになる。
参考書に書いてある式の式番号は参考書と同じ。細かい点は飛ばすのでこの参考書を見ながら読んでほしい。
支配方程式
シュレディンガー方程式
ここで定常状態を考え、
とすると、
となる。
ポテンシャルの壁
の区間については、より、シュレディンガー方程式は
となり、左から粒子が飛んでくることを考えると、
で
となる。
1. のとき
これについては参考書に途中の連立方程式まで導かれているので導出は飛ばす。結果は
である。
2. のとき
変形して
ここで
とすると、
となるので、
振幅の導出
連続でなめらかなことから、
の点で
連続なことから
より
なめらかなことから
より
の点で
連続なことから
より
なめらかなことから
より
まとめ
ここで
と置くと、振幅比についての連立方程式、
が得られる。上から式(a-1),(a-2),(a-3),(a-4)とする。
振幅比について解く
式(a-1)から
式(a-2)に代入
よって
式(a-3)に代入
ここで
と置く。式(a-6)をについて解くと、
また式(a-5)をについて解くと
式(a-7)、(a-8)を式(a-4)に代入し式変形していく
ここで、左辺のの係数について、
よって
振幅の比の絶対値
いよいよトンネル効果の振幅比を計算する。
より
この式の分母について
となる。よって
また
より
なので、式(a-9)は
となる。これは参考書p124の式(13b)'と一致する。
ここまでではてなブログの容量不足になってしまったので、式(13b)'のグラフの図示については後編に続く
一次元のトンネル効果(後編) - あおいろメモ