調和振動子の固有関数の規格化について
- 作者:小出 昭一郎
- 発売日: 1990/10/05
- メディア: 単行本
小出昭一郎, 量子力学(I)p46 §2.6 調和振動子について備忘録。式番号はこの参考書と同じ。波動関数を規格化した際にp50の式(24a)になるまでを導出する。細かい点は飛ばすのでこの参考書を見ながら読んでほしい。
3次元空間上で、原点Oからの距離に比例する引力、
があったとき、時間に含まない定常状態を考えたシュレーディンガー方程式は
となる。これは変数分離すると、方向について、
古典的なばねと質点の単振動では、ばね定数がで運動方程式が
と表せるとき、単振動の角振動数はであった。ここで頭を柔軟に使って論理を飛躍させて、量子力学でも同じように表せると考え、と表すと式(9)は
となる。このように普通、量子力学ではと表す。この式を解くと、固有関数系として参考書p50の式(24a)を得る。
式(24a)の導出
式(11)は
と変数変換し、式変形していけば、
という式を解けばいいことになる。この式の解き方については、EMAN氏のサイトが詳しい。
eman-physics.net(EMANの、この物理数学の微分方程式シリーズは勉強になった。微分方程式(シュレーディンガー方程式も)を解く→固有値と固有関数を求めるというイメージが出来たので。一度式を地道に追ってみることをおすすめする。)
この式の解はとしたエルミートの多項式を用いて、
となる。ただし、は波動関数の規格化で後から決まる係数である。エルミート多項式の性質として
を満たす。これは後で規格化のとき使う。
このエルミートの多項式を用いると、式(11)の1次元調和振動子のシュレーディンガー方程式に対する固有関数系は、
となることが分かる。変数をとに戻し、式(23)を規格化、つまり、のときで積分したら1になるようにする。規格化するための係数をとすると、は
とできて、これについて
を計算する。積分変数を からに変換する。またであることと式(21)を用いる。
よって式(24a)を得る。
ここだけの話、初めてこの導出を確かめた際、を、と間違って式変形してしまい、式(24a)は誤植じゃないかと出版社に問い合わせてご迷惑をかけてしまった。